たっくんのコメントに関して、色々書きたくなったので、日記のエントリーにしちゃう。

まず、このあたりの組織の話で、今まで読んだ中で一番良かったのが、

組織の盛衰―何が企業の命運を決めるのか
堺屋 太一
PHP研究所 (1996/01)
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で、組織について論じるときに、この本の内容が非常に良い土台になると思う。
この本では、組織を

  • 共同体:組織に属する人の結束の固さとか満足感を満たすための組織
  • 機能体:外的な目的を達成するための組織

に分類している。
それで、普通組織って、共同体と機能体の両方の側面を持ってて、どちらの側面が強いかによって、その組織の特徴みたいなのが決まってくるんだろうな。

それで、「坂の上の雲」の舞台の明治時代の日本って

  • 国際的に、文明国であるということを認められる
  • 帝国主義国家の植民地にならない

という結構明確な外的目的を持った機能的な組織で、共通の敵を作るってのは、二つ目の目的をより明確に国民に意識させるために、非常に有効な事だったんだと思う。
でも、国民の一体感とかアイデンティティってのは、こういう外的目的を達成するための手段(それか、明確で強烈な外的目的があったから結果的に国民の一体感が得られたのかもしれない)でしかなくて、国民が日本に対して帰属意識を強めるとかって言うことの前に、外的な目的があったんだと思う。
これは、戦後の高度経済成長期も同じで、戦後のものすごい貧困から立ち上がって、経済的に豊かになろうっていう外的な目的が最初にあって、そのための手段(もしくは外的目的設定の結果)として、国民のモチベーションとか一体感が得られていたんだろうな。
でも、今の日本ってまず、そういう目的がない、もしくは国民全体で共有されてなくて、でも機能体的な組織として国家は存在しているという認識は残っているから、国民のモチベーションとか一体感が全然得られないという現状になってしまっているのだと思う。
これを解決するには、おそらく

  • 新たな外的目的を設定して、機能体的組織としていく
  • 共同体的な組織に転換する

の二つしかないと思う。
二つ目の共同体的な組織としての国家というのが、どういうものなのかは、あまり明確にイメージできていないけど、結構ヨーロッパってそういう感じなんじゃないかなと個人的には思っている。
今、アメリカは(昔からそうだろうけど)「アメリカという国は、理想的な国家で、それを全世界に広めよう」という外的目的があって、でもそれはまだまだ達成されていないから、これからも長くその目的は存続し続けると思う。その目的の設定が非常に強力で、しかも国民全体に共有されているうちは、国家としての一体感やモチベーションは生き続けるだろうな。

長々と色々書いたけど、この話って企業でも同じで、しかも企業の目的は”お金儲け”と非常に明確(なはず)。
それで、企業の話をするときに一番重要になってくるのが、目標達成度だと思う。ここで言う目標達成度ってのは、どれだけお金儲けを出来ているかってこと。企業の目的は絶対に変わることはないから、どれだけその目標を達成できているかってのが、とても重要になってくるのだと思う。
その目標達成度が高いほど、組織としての一体感やアイデンティティは得られると思うし、逆に組織としての一体感やアイデンティティが強ければ、それだけ目標達成に近づくと思う。
でも、お金儲けという目標の場合、無限にお金儲けをするって事は出来なくて、絶対にいつかは限界が来る。だから、企業が大きくなればなるほど、その限界に近づいてしまって、そうすると外的目的があまり満たされなくなってしまうから、共同体的になってしまうんだと思う。
こういう時の、対応策ってのが、とても難しい。個人的には、選択肢として二つあると思って

  • 経済的な大きさを求めない
  • 量的でない目的を設定する(お金儲けだけを目的とするのではない)

があると思う。
二つ目の量的でない目的を設定するってのは、お金儲けだけを目的とするのではなくて、何か別の質的なものを追い求めるということ。
この二つ目の話を思いついたのは、Googleについて色々調べていたとき。Googleは、勿論企業であるからお金儲けもしているのだけど、恐らくそれよりも「世界中の情報にアクセスできるようにする」という明確な目的も持っている。しかもこの目的は、情報というのは常に新しく生み出されていて、事実上無限に近い情報が世界中に存在することが出来るようになるかもしれないため、そうそう達成できることではない。
だから、Googleはお金儲けの方はかなり大成功を収めているけど、もう一つの目的が達成されるまでは、まだまだ魅力的な企業であり続けるのではないだろうかと思った。
でも、この二つの目的を同時に達成するってものすごく難しい事なんだろうと思う。これをどうすれば、うまく出来るだろうってのは、俺は全然わからなくて、まだまだこれから考えないといけないだろうな。

あー、なんか全然見当違いなことかいてしまってるかもしれない。